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社長の明太よもやま通信 VOL.3

社長のよもやま通信

 

【日本の漁業事情】

 

さて、前回までは、外国産の卵を扱うことへの不安・自分の中での葛藤を中心にお話させていただきました。

 

今回は、ちょっと視点をかえて、「日本の漁業事情」についても触れてみようと思います。

 

というのも、話はそもそも、「国産のすけそうだらの漁獲量の激減」に起因しているからです。

 

そもそも、明太子が博多から全国にドンドン広がっていったころ、北海道では、その当時、だいたい年間10,000トン、最盛期で12,000トンぐらい水揚げされていました。

 

ところが現在は、4000トンも大きく割り込む漁獲量になっています。実に、3分の1くらいになっているというのが、現状です。

 

不思議なもので、その漁獲量が減れば減るほど、すけそうだらの卵の値段は上がっていきます。

 

私どもも、本当に苦渋の決断で数年前に値上げをさせていただきましたが、私どもの経営努力をはるかに超えるスピードで、原材料であるすけそうだらの卵の価格が上がっていってしまっています。

 

一方、品質はというと、やはり「量」が獲れないので、当社のお客様にご満足いただけるクラスの原料をそろえるとなると、さらに価格は上がるばかり・・・

 

現状では、この原料高が続いたら、それこそ、お客様お届けするころには、また、びっくりするような価格になってしまうのではないか?

 

そうしたら、いくら何でもお客様にご理解を頂くのは難しいのではないか?

 

また、そもそも、それでは、当社の美味しい明太子をお客様にお届けできなくなるのではないか?

 

そんな中、私たちがこれまで「守ってきた」のは、国内産近海子のもつ「美味しさ」。コーポレートステートメントにもありますが、「ひと粒に身をつくす」ということであり、この「極上のひと粒」を再現することができれば、お客様にも少しはご理解いただけるかもしれない・・そう思いっているうちに、アラスカの会社さんからの相談を頂きました。

その相談とは「アラスカで北海道と同じようにたらこを作ってみているが、全然うまくいかない・・・北海道と同じ品質の抜群の鮮度を保ったスケソウダラの卵を作るのに力を貸していただけないか?」というものでした。

 

最初は、当社も半信半疑、北海道でも苦労してつくってきたものが、そう簡単に、アラスカでつくれるやろうか?という気持ちでした。

 

しかし、これがうまくいけば、ひょっとしたらうちのお客様に、アラスカ産でも、私たちが守ってきた北海道産の卵と同じように美味しい明太子をお届けすることができるかも・・

 

また、ある意味、アラスカのものが安定してくれば、北海道の海も休めるし、無茶な乱獲などもかえって防げるかもしれない・・・

 

そのような思いもあり、3年の月日をかけてチャレンジしてきたというものです。

 

 

さて、足掛け3年に及ぶチャレンジで、ようやく、お客様のご判断にゆだねることができるレベルの品質のものが今年少しですができました。

 

実際に私も、アラスカの海の孤島にある工場まで足を運んで、見てきたのですが、その圧倒的な鮮度の卵に、私自身も言葉を失いました。

 

「みずみずしい乳白色のすけそうだらの卵」

 

これは、何年も昔、北海道でみていた最高級の卵です!

 

獲れてから30時間以内に漬け込むいわゆる「日網」の卵は、

 

見ているだけで、その鮮度の良さがわかる!

 

北海道の浜の人たちがいう「ビカビカ」のたまごでした!

 

直感で、この卵なら!私たちの技術をしっかり組み合わせれば、世界最高峰の鮮度の卵も夢じゃない!と思いました。

 

興奮する自分とともに、

 

この卵なら、美味しいものを誰よりも知っているわが社のお客様でも、歓んでいただけるかもしれない・・そう、可能性を感じました。

 

 

とはいえ、すべては、お客様あってのものづくり、決して私たちの本道である「国内産近海子」をすてるわけではありませんが、アラスカでも、抜群の鮮度を保った明太子づくりにチャレンジしてみました。今は北海道ではなかなか集められなくなってきている抜群な鮮度の明太子を、他のメーカーさんに先駆けて、お楽しみいただければと思います。