我が家の家族の味はお弁当の玉子焼き

毎朝のお弁当にはこだわりがある。例えば玉子焼き。曜日ごとに味を変え、毎日入っているおかずでも飽きない工夫をしている。今日は明太子入り。息子が通っている保育園で、毎月一回お弁当の日がある。その日のお弁当に明太子入りの玉子焼きを入れてから「めんたいたまごは絶対入れてね！」と毎回主張してくるようになった。もとは夫が好きなおかずで、お弁当にもう一品と思った時に作ったもの。最初息子は食わず嫌いで、明太子も食べようとしなかった。
息子にとって夫は、何でもできるスーパーマンのような存在だ。一緒に遊ぶ時でさえ息子に勝ちを譲らない。手先が器用なこともあり、プラモデルもサクッと作ってしまう。強さと繊細さ、そんな姿に憧れたのか、夫のすることを何でもマネするようになり、明太子入りの玉子焼きも好物の一つになった。それ以来、運動会や遠足の日には必ず入れてお弁当を作る。親子揃って好きな食べ物が同じなのは、なんだか微笑ましく感じるものだ。
お弁当の中身を詰めていると、まずは夫が起きてきた。コーヒーを片手にお弁当をじっと見つめてニヤリと笑う。｢明太子入りが、我が家の味になったな｣。そう言って夫は、玉子焼きの余りを口に運んだ後、仕事の支度をしに部屋に戻っていった。
母親になって7年。育児に家事にと大変なことも多かったが、時が経つにつれて嬉しいことも積み重なっていったような気がする。今日は『我が家の味』が生まれた日。以前よりも料理の手際がよくなって、毎日の献立を考えながら料理をするのが楽しくなってきた。今日のお弁当、いつもより野菜を多めにしてみたけれど、美味しく食べてくれるといいな…台の上に並んだ大小のお弁当を眺めながら家族の健康を心から願う。

（通販カタログ2015夏より）